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RUN RUN・椿の季節

 花粉のシーズンも終わりに近づき、ようやく春の陽射しの中で走りたくなってきた。気温は15度。ゆっくり春の景色を楽しみながら走るのにはちょうどいい気候だ。
 思えば、昨年の秋にランニングをはじめて以来、いくつかの発見があったけれど、なによりも、今まで30年近くも暮らしてきた街の景色が劇的に変わったことが大きかった。会社勤め時代は、夜遅くにしかこの街にいなかったし、フリーライターになってからも、昼間、自転車で街を走ることはあっても、図書館や郵便局、スーパーマーケットに行く程度。ウチの近所で、のんびり道端の野花を愛でようなどという発想はなかった。しかし、ゆっくりペースで走り始めたら、街のここかしこに、美しい自然があふれていることに気づいたのである。
 今日の発見は、驚いたことにいつも自転車で通る道沿いのちょっとした公園に「ツバキ園」なるものがあることだった。中へ入ってみると、未だかつて見たこともない華麗な椿が咲き乱れていて、さらに驚かされた。椿って、こんなに種類があったの? 一体いつからここに、こんなにも多種多様な椿の木々が植えられていたのだろうか。園内にある案内を読むと、「ツバキのなかまは東アジアの照葉樹林帯に約200種類ほど分布している」という。しかも、「このツバキ園では、日本でみられる1,000種の園芸品種のうち、約100種を“花の大きさ”に着目して配植しています」とのことなのだ。
 持ってきたデジカメで、さっそくパチリ。紅乙女(こうおとめ)、弁慶(べんけい)、百路の日暮(ももじのひぐらし)、眉間尺(みけんじゃく)、肥後紅葉狩(ひごもみじがり)、鴇の羽重(ときのはがさね)、絞万葉(しぼりまんよう)……と、名前もユニーク。20種類くらいの椿の花々を撮影しただろうか。大輪の椿の花は、色も艶やかで実に見応えがあった。そして、冬の花だと思っていた椿も、こうして春先まで楽しめるんだということも知ったのである。
 スローランで、スローな世界へ。おかげで、花らんまんの春を走るしあわせを、たっぷり味わうことができた。こんなに心踊る日常空間があったなんて、走らなかったら知らない世界だったに違いない。走るという新習慣は、くすんだ日常のなかにも、ちょっぴり華やかな彩りを添えてくれるものになりそうだ。(2013.4.12, 新井容子)


紅乙女c.jpg弁慶c.jpg風折c.jpg百路の日暮c.jpg眉間尺c.jpg肥後紅葉狩c.jpg鴇の羽重c.jpg明石潟c.jpg大城冠c.jpg赤万葉2c.jpg政義c.jpg絞万葉c.jpg貴宝殿c.jpg磯波c.jpgエリザベス・ル・ベイc.jpg

*椿の種類は、上段左から右へ、紅乙女(こうおとめ)、弁慶(べんけい)、蜀紅(しょくこう)、百路の日暮(ももじのひぐらし)、眉間尺(みけんじゃく)、肥後紅葉狩(ひごもみじがり)、鴇の羽重(ときのはがさね)、明石潟(あかしがた)、大城冠(だいじょうかん)、赤万葉(あかまんよう)、正義(まさよし)、絞万葉(しぼりまんよう)、貴宝殿(きほうでん)、磯波(いそなみ)、エリザベス・ル・ベイ。