サボテンの花


 この夏、猛暑でベランダにあったサボテン「ウチワサボテン」の半分が枯れてしまった。砂漠などのきびしい環境で育つサボテンでさえ枯れていくのだから、今年の夏の暑さはつくづく異常なのだと、実感する。それでも、もともとベランダでどんどん増殖していたサボテンだったので、さほど気にせず過ごしていたら、ある日、そのサボテンに花が咲いたのである。
 はじめて見る「ウチワサボテン」の花は、1センチくらいのちっちゃな黄色の花で、とても可愛いかった。何年もウチのベランダで育っていたサボテンだけど、花が咲きそうな様子など一度もなかったので、開花したときは、本当にびっくり、ほっこり、嬉しい気持ちになった。

 でも、なぜサボテンの花が咲いたんだろう? ふと、そんな疑問がわいてきた。
 ネットで調べてみると、「ウチワサボテンは、好条件下で大きく育てば、やがて開花株となり、まれに黄色い花を咲かせ、驚かせてくれます」とある。なるほど。しかし、この夏、ウチのベランダでは、サボテンが半分枯れてしまったのだから、『好条件下』とは言いがたい。
 そこで、別のサイトを見てみると、サボテンに花が咲くのは、「子孫を残すため」と説明されている。きびしい環境で育っているため、生命の危機を感じると、子孫を残そう、種をつくろうとして、花を咲かせるというのだ。なるほど。こちらの理由は、かなり的を得ているような気がした。この夏の猛暑で、半分枯れてしまった我が家のサボテンは、まさに生命の危機!を感じとったということなのだろう。そう思うと、必死に花を咲かせて生きのびようとした「ウチワサボテン」に、私も、ちょっぴり勇気をもらったような気がしてきた。

 結局、サボテンの花は1日しか咲かなかったけれど……。サボテンの花言葉は、「枯れない愛」「燃える心」「暖かい心」「偉大」などだという。なるほど、これまた縁起がいい。おかげで、猛暑の夏に、思いがけずサボテンの花が咲き、ほっこり幸せ気分をもらったのだった。

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